sakuranote

さくらのおと

緑から白へ

いろいろ新しいことを知ることができたので、キャプテンが卒業発表したこのタイミングで、また書きたい。俯瞰した視点から書くので、メンバーによっては少し辛辣な表現にもなるかもしれない。

まず欅坂46とはなんだったのか。欅坂46は2016年4月6日にサイレントマジョリティーでデビューしたグループである。フレンチポップを基調として、パステルカラー寄りな乃木坂46に対して、ロックを基調として、ダークな色使いを特徴としたグループだったんだろうと思う。メディアに露出する乃木坂に対して、ステージ中心の活動をメインフィールドにすることで、よりダンスパフォーマンスに特化したグループを目指したのだと思われる。

秋元康プロデュースのアイドルグループは、創成期にセンターを固定する。グループの軸が造られたタイミングでセンターを変えるのだが、欅坂46については、その"序列"がずっと変わらなかった。というよりは、グループでパフォーマンスに特化するあまり、それぞれの役割が固定化されたのではないかと思う。しかし、グループを長く続けるにはメンバーの入れ替わりに耐えられるグループを作らなければならない。序列の固定化は変える必要がある。

欅坂46が転機を迎えるのは「坂道合同オーディション」だったのではないかと感じている。デビュー2年後の2018年に「坂道合同オーディション」で2期生を迎えることになるわけだが、実は欅坂はここまで新しいメンバーが加入したことがない(乃木坂は4期生、日向坂は3期生として迎えており、以前にメンバー加入を経験している)

欅坂46は2019年9月19年、全国ツアーのファイナルとして、東京ドーム公演を迎えることになる。その後、9枚目シングルの制作に着手することになる。このシングルでは、"序列"を変えるために、大きなことを2つ実施する。選抜制の導入、そして、曲調の変更である。

選抜制を導入することで、スムーズに序列を変えられるようにすること、そして、メンバーの増加に耐えられるようになる。曲調の変更により、明るめの曲を入れることで、これまでのダークな印象を払拭し、メディアに出やすくしたかったということもあるのではないかと思われる。実際に、9枚目のシングルの選抜には2期生も入っており、"序列"を意識させるものだった。

結果的に9枚目シングルは発売されなかった。こうしたグループの変化に、センターである平手友梨奈が適応できなかったというのが大きな要因だと思う。そして、この9枚目シングルを出さないという決定と同時に、グループの看板を変える(グループ名もセンターも)という決定がされたのではないかと推測する。

感染症により満足な活動ができない中、欅坂は櫻坂になった。櫻坂をきちんと離陸させるため、一年間は欅坂のことを"忘れる"しかなかったし、1枚目シングルから現在に至るまで、表題曲は2期生センターに託されている。

そして、もうすぐ結成2年を迎える2022年、アルバムを出し、櫻坂としての自力も蓄え、いよいよ東京ドームを視野に入れる。

緑色だった葉っぱが白に変わった頃、2期生はまだグループに馴染めていなかったのを感じていた。それはきっと"序列"が固定されすぎていた中で、1期生と2期生の"序列"も固まっていて、機能していなかったんじゃないかと思う。そして今、それは大きく変わったし、それぞれのキャラも立ってきた。

2019年9月19日は結果的に欅坂センターである平手友梨奈のラストライブになった。そして、2022年11月9日、欅坂からキャプテンをつとめてきた菅井友香がラストライブを迎え、その役割を終える。新陳代謝はグループを強くする。欅坂時代からの大きな"看板"が消えることで、櫻は長い間咲き続けるための大きな力をつける、そう信じている。

その先の櫻の木を見る

櫻坂46 渡邉理佐のグループ卒業に伴う、さまざまな企画は櫻坂46にとっても意味があるようなものだったと思う。

欅坂46は、てち、こと、平手友梨奈を絶対的センターとしたグループであるというのが、多くのパブリックイメージである。そして、ドキュメンタリー映画の中でも、彼女のが徐々に体調を崩し、グループの活動に参加できなくなっていくことで、いろんな困難が襲い、グループ自体が不穏な空気に包まれるという状況が描かれている。

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2015年8月結成。翌年4月に『サイレントマジョリティー』で鮮烈なデビューを飾った欅坂46。強烈なメッセージ性が込められた歌詞の世界観を、独創的なクリエイティビティと圧倒的なパフォーマンスで表現して、瞬く間に日本中を熱狂させた。昨年9月に初の東京ドーム公演2daysを成功させて迎 APPLE TV 渡邉理佐の卒業に伴うさまざまな発信は、平手友梨奈が出てこない、まさに渡邉理佐を中心として描かれた欅坂・櫻坂の様子が表現された。その中心は、二人セゾンと、青空とMARRY。

グループは1人だけで構成するものではない。ましてや、アイドルグループは仲良しグループではなく、商業的な意味のあるグループだ。欅坂のパブリックイメージとして、平手友梨奈をフロントに押し出しすぎたし、彼女もその期待に応えようと、体が壊れるほど必死すぎた、というのが欅坂だったんだろうと思う。

渡邉理佐の卒業ライブは、欅坂46のラストライブとはまた違った意味で、欅坂46を総括し、清算する素晴らしいライブになったんじゃないだろうか。そして同時に二期生がセンターで凛々しく踊る櫻坂46の楽曲は「未来」を感じさせた。

外仕事が少ない、櫻坂46で貴重なラジオ番組である、「こち星」もこのタイミングでMCが二期生に変わる。櫻坂46は確実に「未来」を見据えているように感じる。

乃木坂46の10年目の騒動

乃木坂のことはよく知らないし、乃木坂46とファンが築いてきた「乃木坂っぽさ」についてもよく知らないんだけど、乃木坂46の29thシングル「Actually...」は、「乃木坂っぽさ」をスクラップするための曲だったんだろうという感覚はある。

夏に始まった5期生オーディション、昨年12月に発売されたTime fliesからのスケジュールを考えてみると、もしかしたら、5期生が12月に正式にグループに加入し、2月の46時間TVを経て、3月末のActually...発売 に流れるカレンダーがひかれていたのではないかと思われる。(そして全体を年度が変わる前に終わらせたかったのではないかと思う)

実際、5期生の加入がなんらかの都合で遅れたという話を聞いたし、Actually...の制作期間は1月という話も聞こえてきている。今回はお披露目会の直後にセンターをつとめることが発表されたが、12月にお披露目会をしていたら、多少印象は変わっていたかもしれない(どっちにしろ炎上してた可能性は高いが)

そして、Time Fliesと46時間TVで10年に区切りをつけ、前に進むという意味合いであれば、「新しい乃木坂をつくるタイミング」という企画が上がってくるのも容易に想像がつく。

公式ライバルという話はもうどうでもいいのだが、乃木坂46にはまだAKB48恋するフォーチュンクッキー」に肩を並べる曲が存在しない。新しいファンを獲得して増やしていくには、プリズム式に新しい色を追加するしかない。しかし、ファンの反応を見てるとそれは歓迎されないらしい。

スクラップの次はビルドだ。30thシングルはセットで何らかの仕掛けが準備されていたのかもしれない。


センターに新しい人を登用するという手法は、実は秋元康がプロデュースしているグループでは新しい風を吹かせる手法として幾度となく行われてきた。別に新しい手法でない。

今回の騒動の中でよく言及されている欅坂では平手友梨奈を抜擢したが、彼女の表現力にグループ全体が引っ張られる形になり、それを続けていくことで彼女自身が消耗し、活動を続けられる状態ではなくなった。紅白出演直後に体調を崩すメンバーが多数出たこと、東京ドームライブでアドリブ演出的にステージから落下したことはとても有名である。

彼女がアイドルとしての活動を休止した後、欅坂46は"封印"され、櫻坂46となった。4月に発売される「五月雨よ」では、16歳の山﨑天がセンターとして起用されている。

Actually...のセンターとして抜擢された中西アルノがどのような人なのかはまだわからないが第一報を聞いた時には平手友梨奈のことが頭をよぎり、やりすぎない人でなければいいなと思っていた。残念ながら別の理由で続けられなくなったのが残念である。