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さくらのおと

推し活はゲームだ

櫻坂を中心にアイドルと接点を持ち始めて、3年近く。その中で気になることがある。

「オタクは総選挙が大好き」ということ

総選挙というのは、かつて48グループがやっていたあの総選挙のことだ。なんらかの形で投票権を入手し、推しの子に投票する。その数を競っていた。その結果は、ランキングという形で視覚化されるし、上位メンバーはシングル選抜として活動できる。1位はセンターだ。

48グループの総選挙はすでに行われていないが、なんらかの形で総選挙は残っていたりする。

ひとつは、MVの再生回数だ。ランキングにはならないが、再生回数と、できるだけ早く100万回に達成することを、競っている。これまでの曲より早く100万回再生を達成できたり、"ライバル"となるグループよりも再生回数が多かったりすると、自慢できる。自慢するための戦いなのだ。

ふたつめは、K-POP界隈からやってくる投票企画だ。昨年開催されたAAA(Asia Artist Awards)では、Idolchampというアプリを使った投票企画が実施された。idolchampでは投課金したり、指定されたサービスのアカウントを作ったりして投票ポイントを入手する。

もうこれはゲームだ。そしてそれを煽るアカウントすらある。

こういうゲームは達成感を得やすい一方、のめり込みやすい。つまり、依存性があると思う。暇つぶしにやっているくらいであれば良いが、なんらかの都合を調整してやっているのであれば、すぐに振る舞いを顧みたほうが良いと思う。

チャンスは平等とハニーデュー

乃木坂46 35th Single「チャンスは平等」。

MVは、メンバーがマネキンに扮するというアイデアを軸に進んでいく。まさに「アイドル=偶像」の原点だなと思った。 テレビでのパフォーマンスを見た。 現役モデルやモデル経験者が勢揃いして踊る華やかさを強く感じた。

チーム乃木坂が、35枚目で表現したかったのは、ダンスが上手いグループとかではなく、この圧倒的な華やかさなのだろうと思う。それには3期生が勢揃いする必要があるし、そのセンターに山下美月がいる必要があった。

音楽は、ちょっと懐かしいタイプのファンクをベースにしたディスコソング。全体的に、流行りすぎてスタンダードになっている感じもある「0年代」のファッションを、今風にアレンジしたかのようだ。

その一方で、カップリングにはこれまで馴染みのない作曲陣が名を連ねる。未来のクリエイターたちがそこにいる。


日向坂46 11th Single「君はハニーデュー」。

”新参者” 4期生からセンターを迎え、MVでは一人の少女がアイドルグループで活動を始めるまでの工程が描かれている。彼女たちが、決起する場所は、Anniversary Liveを行う場所として選んだ横浜。そのAnniversary Liveでは、Day0 齊藤京子卒業ライブでグループの原点に向き合い、Day1, Day2で未来を感じさせた。特に、Anniversary Liveで見せた「月と星のMidnight」は、未来を感じさせるに十分だった。

本来は4月5日の卒業ライブをスタートに、4月6日・4月7日のAnniversary Live、4月10日のシングル発売というスケジュールを組んでいた日向坂。それは、助走から急に離陸をするのに十分だったはずだ。残念ながら、発売日を1か月ほど遅らせなければならなくなったのは、きっと無念が残っているのだろう。

卒業した先輩の場所に後輩が入り、そして認知が広がる。乃木坂や櫻坂で始まっていたグループの新陳代謝が、日向坂でもいよいよ始まろうとしている。

9に向けて

小林由依卒業コンサートが終わった。これまで、渡邉理佐菅井友香のセレモニーが開催されてきた。思えば、これらの卒業セレモニーが開催されるたびに、グループから緑色が薄くなっていったような感覚を覚える。特に今回のセットリストは、欅色が消えるどころか、チーム櫻坂がこれまでに築き上げてきた集大成のようなライブだった。見せつけるようなライブを置き土産のようにして、彼女はグループを去った。

櫻坂46の8thシングルは、一期生が入らない選抜になった。思えば、欅坂46からの改名は、それがそのまま二期生への世代交代も意味していた。櫻坂46というグループは、二期生が先頭に立って進み続けるのを一期生が支え続けた。8thシングルで一期生がいないという現実は、自転車練習をしていたのに、急に手を離されるかのよう。櫻坂46というグループのビルディングと、世代交代が完了したということを意味する。

これからは純度の高い櫻坂46として、歩みを始める。その一歩目のシングルが8thシングルになる。「何歳の頃に戻りたいのか?/いや、その過去は勝手に美化してるものでしょ?」と問いかける表題曲は、古くからのファンにとってはとても辛辣に映るものに見える。ただし、それは、未来があるメンバーにとってはとても強く支えになるものになるはずだ。

3月の全国ツアー「新・櫻前線」をきっかけに、新しいチーム櫻坂が始まる。そして、その先には、欅坂46時代には出せなかった"9枚目シングル"が控えている。

「欅坂を越えろ」

シングル枚数で越える日が、少しずつ近づいている。

三期生とNobody's fault

どこかに書いた記憶があるので、長いこと書くつもりはないが、自分が櫻坂46と出会ったのは、暇つぶしに見た欅坂46のTHE LAST LIVEだった。よく行くフェスCDJの常連だった欅坂46が改名するという話は聞いていた。その流れもあって、暇つぶしに見たオンライン配信ライブ。そのアンコールで、さっきまで欅坂46としてパフォーマンスしていた彼女たちは、真っ白な衣装に身を包み櫻坂46として "Nobody's fault" を披露し、何も言わずに去っていった。

社会風刺が強く、少しダークな楽曲を表題曲に持つことが多い欅坂46が改名して、どんな曲を披露するんだろうか、乃木坂や日向坂がやってるようなキラキラしたアイドル曲かもしれない。そんなことを思いながらその瞬間を迎えたのを覚えている。

Nobody's faultは「ちょうどよかった」 そして、このグループを少し追いかけてみようと思った。

あれから3年。3rd anniversary liveが開催され、3年間の間に積み上がった曲数と、パフォーマンスの成長を感じた。その後開催された新参者 櫻坂46 三期生 千秋楽公演で、三期生は "Nobody's fault" を披露する。3年前に見た、あの衣装を着て。

3年前、もしかしたら、同じ映像を見ていたかもしれないし、まだアイドルのことすら知らなかったもしれない11人の三期生。そのメンバーが、あの衣装を着て、あの時と同じように "Nobody's fault" を踊っているのを見て、3年間の時間の蓄積を感じた。

もしかしたら、ZOZOマリンで感じたよりも強く感じたかもしれない。

櫻坂46は、グループカラーを白に設定しているグループだ。メンバーが入れ替わるに従って、もしかしたら、緑色にまた染まることもあるかもしれないし、水色や紫に染まることもあるかもしれない。いろんな色に染まりながら、最後はサクラピンクに戻るんだろうなと、今は思っている。

新参者、3回目のアニバーサリーの先に何を思う

全30公演の新参者ライブが終わった。3つの坂道グループの新規生がそれぞれのステージを10回ずつ行う公演は、1日に2回公演がある日もあり、個人の体力と、それぞれのグループの力を試されるものになった。

新規生とは言っても、すでにグループ本体のメンバーとして活動を始めている乃木坂は少し経路が違う。彼女らは大きな舞台も含めて数々の場数を踏んできた、その片鱗を見せつけた。

まだ別働隊として活動することが多い日向坂三期生にとっては、ツアーが終わり、追加公演の間ということで、非常に難しい準備期間での参加になったのではないだろうか。

櫻坂三期生は加入してまだ1年。最新作で選抜として活動しているメンバーもいるが、場数としてはまだまだこれからというタイミングでのこの企画は、渡りに船だったのかもしれない。

櫻坂にとって新参者は「承認欲求」期間だった。その中で開催された3回目のアニバーサリーライブでは、1期生が卒業し、そしてその後別の1期生の卒業が発表された。櫻坂というグループは、2期生がフロントに立ち、それを1期生が支えていたグループだけども、1期生の卒業は3期生の役割と覚悟をはっきりとさせる力はあったのだろうと思う。

3回目のアニバーサリーでは、Day1でこれまでと卒業を、Day2でこれからを見せるライブになった。Day1で披露された櫻坂3期生パートは、Day2で披露されたこれからの覚悟を秘めた楽曲マモリビトとBACKSパートの披露として昇華された。

その中での櫻坂46新参者は、いろんな感情の中で行われていたに違いない。櫻坂のこれまでの楽曲の中で、ほとんどが始めてパフォーマンスする楽曲であり、そしてそれらはこの3年で初披露された楽曲である。彼女たちも最初は忠実に再現することに気持ちを持ちつつパフォーマンスしていたようだが、千秋楽は正確さよりも感情を表に出して「表現」するようになっていた。

紐を使ったパフォーマンスで知られる「なぜ恋をしてこなかったのだろう」で、紐が絡むアクシデントがあったが、センターの的野美青は紐を使ったパフォーマンスを作り上げることで、場を止めることなくやり切った。

そして、アンコールで締めた後に披露されたのが、ダブルアンコール「語るなら未来を」(欅坂46)である。櫻坂46の継承者(from マモリビト)としての三期生の覚悟を示し、また櫻坂46とは何かを示すにも十分すぎるパフォーマンスだった。

欅坂46の特徴である緑色の空間のなかで踊る経験はきっとそれほど多くもできないだろう。そして「新せ界」で示されたように、櫻の木の根っこには欅坂がいる。一度櫻坂の詩で締めたように、櫻坂46と欅坂46は別のグループだけれども、経験は行き続ける。そのことを、櫻坂46三期生として、ではなく、櫻坂46メンバーとして、強くBuddiesに示した。そういう瞬間だった。

1月には7th Single BACK LIVE!!が開催されることが発表されている。櫻坂三期生としての活動は減っていくことが予想される。新参者は「青春」だったのかもしれない。

来年も春ツアーが開催されると思うが、その前に発表される8th Singleがどうなるのか見守っていきたい。3期生の誰かがセンターをつとめてももう誰も驚かない。そこまで来ている。

そして、そのような動きの中で自らの役割が終わったことを悟る形で1期生は静かに自分たちの人生を歩み始める形で卒業していくのだと思う。緑色の経験と伝説を残して。

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Star over は何を「やり直す」のか

(この記事には 櫻坂46 新せ界の内容も含まれています)

先日、櫻坂46が始めた展示会「新せ界」を見に行った。これまでの衣装や資料などを公開し、”解き明かす”を通じて、鳥居坂・欅坂から続く長い歴史の肯定と、未来への宣言という形でまとまっていたと思う。特に、象徴的に何度も登場する桜の木の根元のディスプレイに欅坂時代の映像が流れ、その外側に最新のパリ遠征の映像が流れる演出は鳥居坂からの一切を背負っていく宣言を感じ、目頭が熱くなった。

「新せ界」で公開された資料の中に、Nobody’s faultの企画書があった。「アベンジャースタイルで見せたい」という文字が書かれたその企画書こそが櫻坂の出発点だったと感じる。「新せ界」の会期中に発売されたBlu-rayには、2022年11月に開催された、2nd Tourファイナルの映像が収められている。2nd Tourのオープニングでは、一期生菅井友香が、4人を花道の先からステージに呼び込むという演出がされていた。この4人こそ、櫻坂がデビューしてから1stアルバム「As you know?」までのフロントを支えてきた、森田ひかる、田村保乃、山﨑天、藤吉夏鈴だった。

欅坂の象徴としての菅井友香が呼び込む、櫻坂のアベンジャー4人。そして最初の楽曲は「条件反射で泣けてくる」。これは、その後の2nd Anniversary Eventで、TAKAHIRO先生の解説があった通り、欅坂時代を強く意識した振り付けになっている(Start over!の特典映像)。

4人を呼び込んだ菅井友香はこのツアーで卒業した。このライブのタイミングで感じたことは記事にまとめてある。

欅坂の末期に入ってきた二期生は2nd Tourを通して東京ドームを含む経験をし、成長した。そう考えるとこの2nd Tourは櫻坂が咲くための大きな意味を持っていた。そして、その意味をファンが理解する「新せ界」までが櫻坂第一章だったのかもしれない。

「新せ界」の展示を見てこれまでの歴史の意味を把握した最後にやってくるのがストアだ。ストアでは、メンバーのポスターなどが購入できる。ここでの注目は三期生。これまで「別働隊」として別の衣装を着て別の活動をしていた三期生が、一期生・二期生と同じデザインのポスターを制作されている。櫻坂第二章は、三期生が一期生・二期生と同じグループとして活動を始める。その宣言として受け取ることができた。

櫻坂第一章の最後にドロップされたシングル「Start over!」。果たして、「やり直す」とは何をやり直すのか。

櫻坂の次のアクションは ZOZOマリンスタジアムでの 3rd Anniversary Live。初のスタジアムライブで櫻坂が何を見せるのか興味深い。ツアーは櫻坂の今を見せる、いわば外向きの活動なのだが、アニバーサリーはコアなファンであるBuddies向けの特別な空間なので、欅坂の曲をやることもあるんじゃないかなと思ったりはしている。

欅坂46 THE LAST LIVE -DAY1 & DAY2- を 2023年に見た

欅坂46 THE LAST LIVE -DAY1 & DAY2- を今頃買ってみてみた。これは2020年10月12日・13日に無観客の代々木体育館で行われた、欅坂46の最後のライブ。欅坂46の長いファンの中にはまだ開封できていないという話も聞く。

自分が初めて欅坂46をちゃんとみたのはこの10月13日。つまり最後の日だった。当時はメンバーの名前もよく知らないまま見ていたのを覚えている。

改めて2日間を通したライブを見て、DAY1とDAY2の演出の違いが気になった。 DAY1は、レンガと鉄格子を中心に、重いテイストの演出が続いていく。衣装も緑で、セットリストも欅坂の表題曲が多く含まれていて、よく知っている欅坂46だった。 DAY2は、衣装も白だし、映像もどこかPerfumeのようなサイバーチックで明るめの演出が多かった。 そして、全体を通して、二期生がとても目立っていた。ドキュメンタリーによると、このライブで初めて振りを覚えた曲も多くあるらしい。

実際、欅坂46 二期生のおもてなし会が2019年4月に開催された後開催されたライブは数える程。

  • 欅共和国2019(2019年7月)
  • 欅坂46 夏の全国アリーナツアー2019(2019年8月)
  • KEYAKIZAKA46 Live Online, but with YOU! (2020年7月)
  • KEYAKIZAKA46 Live Online, AEON CARD with YOU!(2020年9月)

そして、二期生を加えたシングルは2019年9月に発売を発表するも、2019年12月に発売延期を発表。そのまま、メンバーの卒業と感染症の拡大を迎えてしまった。

欅坂46今冬発売9thシングルで初の選抜制度、2期生から7名抜擢 欅坂46の9thシングルが発売延期に 二期生が一期生とマージしてチームになるタイミングが、皮肉にもラストライブだった。

全体を通して二期生が目立っていたことと、そしてDAY2の白を基調とした演出は、どこか櫻坂へと繋がる。その中で重要な鍵となったのは、幻の9枚目に収録されるはずだった楽曲たち。

  • 10月のプールに飛び込んだ
  • 砂塵
  • コンセントレーション
  • カレイドスコープ
  • Deadline

この1回きりの披露で作られた振り付けと、白と自然物を基調とした演出は櫻坂への橋渡しを強く感じる。

その後、THE LAST LIVEは - 風に吹かれても - アンビバレント - ガラスを割れ! - 誰がその鐘を鳴らすのか? と代表曲を披露した後、デビュー曲「サイレントマジョリティー」でエンディングを迎える。

最後に緑を印象付けた後、アンコールで披露される櫻坂46「Nobody's fault」は、この後に続く未来を予感させる素晴らしいものだった。

2023年に改めてこのライブを見て感じたのは、二期生がジョインしたチームの助走期間だった。このチームが、櫻坂として満開に咲き誇るための必要な活動がこの2日間に詰まっていたのではないだろうか。

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